川越駅で全盲の女子高生が暴行受ける傷害事件-白杖接触の腹いせか

■2014/9/12　21：19 最終更新■

埼玉県川越市脇田町にあるJR川越駅で９月８日、埼玉県立特別支援学校に通う全盲の女子生徒が、足を蹴られて負傷する傷害事件が起きました。

被害者は、埼玉県立特別支援学校「塙保己一学園」高等部専攻科１年生の女子高生。塙保己一学園＝はなわ ほきいち がくえん

発表によると同日午前７時５０分ころ、女子高生がバスに乗り換えるため川越駅の改札を出て点字ブロックの上を歩いていたところ、正面から来た何者かが白杖（はくじょう＝視覚障害者の方が前方や足元の安全等を確認するための杖）に接触したということです。

女子高生によると、接触した人物は正面から来たといい、白杖に接触した際に転倒してしまった気配がしたとのこと。

しかし転倒した人が立ち上がった気配がしたため、女子高生が再び歩き出したところ、背後から右膝の裏を強く蹴られました。

近くにいた男性が、女子高生を蹴ったとみられる人物に対して「何をやっているんだ！」と注意する声がしたそうですが、蹴った人物は無言で立ち去り逃走。性別・年齢共に不明ということです。

この事件で、女子高生は右膝に約３週間のケガ。白杖と接触して転倒したことに対する腹いせの犯行とみられています。

女子高生の家族は埼玉県警川越署に被害届を出すとしており、川越署では被害届を受理次第、傷害事件として捜査を進める方針です。

埼玉県内では盲導犬が刺される事件も

埼玉県内では今年７月２８日、全盲男性のパートナーである盲導犬「オスカー」が、何者かに刺される事件が起きました。

傷跡は5mm程度の傷が４ヵ所、深さ1cm程度の穴があいていたといいます。傷跡から、フォークのようなものを刺されたとみられています。

オスカーは、盲導犬として何があっても吠えないように特別な訓練をされているといい、この事件の際にも一切吠えませんでした。

川越駅で足を蹴られた女子高生が通う塙保己一学園の荒井宏昌校長（５６）は、「目が見えない無防備な生徒に暴行を加えるなど、決して許してはならない行為。点字ブロックの上は視覚障害者のために空けておいてもらいたい。盲導犬が刺された事件と同じで、悪質。許せない。」などと話しました。

また被害者の女子高生は「何が起きたのか分からず、怖かった。これまでにも、白杖に引っかかった人に文句を言われたりすることはあったけど、暴力を振るわれるなんて思わなかった」と話しました。

関連する犯罪の法定刑
傷害罪…15年以下の懲役または50万円以下の罰金

塙保己一学園

埼玉県立特別支援学校塙保己一学園（さいたまけんりつ とくべつしえんがっこうはなわほきいちがくえん）は、埼玉県川越市笠幡にある公立特別支援学校。障害のある子どものための専門的な教育を行う特別支援学校（盲・ろう・養護学校）として埼玉県内で最も古い歴史と伝統を有する。寄宿舎も有する。

校名に含まれている「塙保己一」は埼玉県出身の盲目の国学者で、郷土の偉人にちなんで改名された。同校は、人物のフルネームを名前にした唯一の学校である。

出典：埼玉県立特別支援学校塙保己一学園 – Wikipedia

塙保己一学園の地図

全盲の女子高生に対する傷害事件に関するTwitter関連投稿

傷害事件現場（JR川越駅）場所の地図